サブカル雑記(仮)

アイマス、ファンタジー、ドール、プラモデル、ビール、アニメなど。

ラノベ発刊スピード今昔物語

 

 「ロードス島戦記 灰色の魔女」が刊行されてから30年以上が経過した。「ロードス島戦記」とは、1988年に角川文庫から刊行されたファンタジー小説で「ロードスという名の島がある。」で始まる “呪われた島”ロードスを舞台にした英雄たちの興亡と冒険を描いた物語だ。1990年にはOVAでアニメ化もされた。アニメ化では出渕裕氏のキャラクター原案に結城信輝氏のキャラクターデザインのセンスが掛け合わされた。その雰囲気の良さが最大限に活かされた国内ファンタジー作品の金字塔といわれる超名作である。私がファンタジー作品にはまるきっかけだった。そして2019年には新刊「ロードス島戦記 誓約の宝冠」が発売された。この歳になってまさか「ロードス島戦記」の続編が読めるなんて、という純粋な喜びがある一方で、次巻の発売までいったいいつまで待たされるんだろうか?とか、完結まで読めるんだろうか?、という漠然とした不安があった。そしていま現在「ロードス島戦記 誓約の宝冠」の発売から3年が経つが、続編が刊行される気配はない……。

 昔に比べて、読者が次巻を待てる期間もだいぶ短くなったのではないだろうか。以前は月刊誌への連載が基本で、それがある程度まとまったタイミングで単行本が発売されるという流れだった。リアルタイムで楽しみたい人は月刊誌で追いかけていたが、私は単行本で追いかける派だった。当時の「ロードス島戦記」の単行本刊行のタイミングは下記のとおりだ。

 ・1988年4月 「ロードス島戦記 灰色の魔女」

 ・1989年2月 「ロードス島戦記 炎の魔神」 ※10ヶ月後

 ・1990年1月 「ロードス島戦記 火竜山の魔竜(上)」 ※11ヶ月後

 ・1990年6月 「ロードス島戦記 火竜山の魔竜(下)」 ※5ヶ月後

 ・1991年2月 「ロードス島戦記 王たちの聖戦」 ※8ヶ月後

 ・1991年11月 「ロードス島戦記 ロードスの聖騎士(上)」 ※9ヶ月後

 ・1993年3月 「ロードス島戦記 ロードスの聖騎士(下)」 ※16ヵ月後

 最終巻にいたっては1年以上も待たされている。いまは小説投稿サイト「小説家になろう」など、ネット連載の作品も多く、作者の好きなタイミングで刊行できる。月刊誌や週刊誌という縛りもなく、作者自らが筆の進みに合わせてリリースペースを決められる。テンポよくリリースしてくれるので読者も飽きずに読める。続きがどんどん読めるので楽しい。だからモチベーションが持続する。読者もそれに慣れてきているので、消費のスピードが上がっている。どんなに面白くても、読者を待たせないことが大事だ。1年以上も続編が出ないと、忘れられてしまう。いまの読者は待ってくれない。待ってくれるのは昔のファンだけだ。それもいつかは続かなくなる。いつまで待てばいいのか?名作の続編だけにもったいないと思ってしまう。読者がいつまでも待っていてくれると思うのは作者の傲慢だ。

 「小説家になろう」で連載しているいわゆる“なろう系作家”は筆が速い。その代表格が「Re:ゼロから始める異世界生活」いわゆる“リゼロ”の作家である長月達平氏だ。“リゼロ”は「小説家になろう」にて2012年4月から連載が始まり、MF文庫Jにて2014年1月から刊行されている。最新刊の30巻が2022年6月に発売されており、前の29巻は2022年3月に発売されているので、3ヶ月に1巻のペースでリリースされていることになる。ざっと年間4冊ペースだ。それ以外に外伝もリリースされていたりする。ものすごいペースだ。そしてどれだけ売れてもその方針がまったく変わらないのがすごい。さらに長月達平氏は“リゼロ”以外にアニメの脚本でも活躍している。

 定期的に新作をリリースしてファンの心を繋ぎとめておくことが大事だ。もちろん新作でなくても構わない。既出の作品でも新しい楽しみ方の提案が出来ればそれでもいい。そういった工夫をつなげていければ、コンテンツは長生きする。「ロードス島戦記」にもそれを期待したい。「ロードス島戦記 誓約の宝冠」の続編はよ!もしくは「PLAMAX MF-xx minimum factory ピロテース」はよ!