サブカル雑記(仮)

アイマス、ファンタジー、ドール、プラモデル、ビール、アニメなど。

ファンタジー雑記 -19世紀のイギリスにおける妖精物語

 第28話「また会ったときに恥ずかしいからね」をもって「葬送のフリーレン」の放映が終わった。「葬送のフリーレン」は、2023年10月から冬アニメとして始まったマンガ原作のファンタジー作品だ。ファンタジー作品が好きな自分にとって、傑作が生まれた瞬間に立ち会えたことがすごく幸せだった。「葬送のフリーレン」は間違いなくファンタジーアニメの歴史に残る傑作であり、これをきっかけにファンタジー作品に興味を持つ人もいるはずだ。せっかくのチャンスなので、ファンの裾野開拓に少しでも貢献すべく、ファンタジー作品が楽しめるような歴史的背景をまとめることにした。

 日本でファンタジー作品が広く楽しまれるようになったのは、1987年に発売された『ドラゴンクエストⅡ』と『ファイナルファンタジー』がきっかけといって間違いない。では、それ以前はどうだったのか?そのきっかけはどのように作られていったのか?年代を追って説明していく。

 日本のファンタジー作品は間違いなく海外から輸入されてきた作品に影響を受けている。では、海外のファンタジー作品の基礎はどこにあるのか?その答えは1800年代(19世紀)のイギリスにおける妖精物語(Fairy Tale、フェアリーテール)にある。

 妖精物語とは、当時、貴族の子弟に使用人が聞かせた民話や伝承などの物語である。貴族の子弟を世話する使用人たちは、その多くがアイルランドスコットランドから移住してきたケルト神話の影響を受けた人達だった。妖精がいきいきと活躍する妖精の住み家としての物語が子供部屋で語られていた。

 やがて、子供たちへの教育が重要視されるようになるにつれ、貴族の子弟に下賎な使用人の物語を吹き込む訳にはいかなくなり、子供たちを使用人の害悪から守るための正統な物語として、子供向け文学である児童文学の市場が確立していく。

 そして、海外からも多くの児童文学が輸入された。その代表作が、グリム兄弟の『グリム童話』であり、アンデルセンの『アンデルセン童話』である。『グリム童話』とは、グリム兄弟が収集したドイツの民話を児童文学へと再構築した童話集である。1812年に発行され、1823年にイギリスに上陸した。『アンデルセン童話』とは、デンマークアンデルセンが、グリム童話の豊かな物語性に影響を受けて創作した童話集である。1835年に発行され、1846年にイギリスに上陸した。

 このように、輸入されてきた児童文学の影響を受けながら、イギリスでは妖精物語への興味や関心が高まっていく。そんな中から誕生した著名な作家をピックアップする。

(1)ジョン・ラスキン:1819-1900

 ・イングランド出身。

 ・イギリスにおける創作妖精物語の最初の作品の作者。

 <代表作>

 『黄金の川の王さま』1850

 

(2)ジョージ・マクドナルド:1824-1905

 ・スコットランド出身。

 ・現代ファンタジーの父とよばれる。

 ・イギリスで初めて大人向けのファンタジー作品を書いた作家。

 <代表作>

 『ファンタステス』1858年

 『リリス』1895年

 

(3)ルイス・キャロル:1832-1898

 ・イングランド出身。

 ・「少女」という概念と妖精物語との関係性にこだわった作家。

 ・妖精物語という形式、かつ児童文学という体裁のファンタジー作品。

 <代表作>

 『不思議の国のアリス』1865年

 『鏡の国のアリス』1872年

 

(4)ウィリアム・モリス:1834-1896

 ・イングランド出身。

 ・趣味人としての異世界構築趣味が有名(現在でいう同人活動の先駆け)。

 ・アーツ・アンド・クラフツ運動の主導者でモダンデザインの父とよばれる。

 <代表作>

 『世界のかなたの森』1892年

 

 

【参考文献】

・新編 別世界通信、荒俣宏イースト・プレス、2002年。

・ファンタジーの冒険、小谷真理ちくま新書、1998年。

ケルト歴史地図、ジョン・ヘイウッド著/井村君江監訳、東京書籍、2003年。

・ファンタジー文学入門、ブライアン・アトベリー著/谷本誠剛+菱田信彦共訳、大修館書店、1999年。

 

ドールイベント参戦記 -2023年の振り返りー

 昨年を振り返り、2023年に参加したドールイベントについて紹介します。イベント参加を迷ってる初心者のオーナーさんは是非、参考にしてください。

 昨年は2回、ドールイベントに参加しました。参加したイベントの詳細情報は下記のとおりです。

 

<アイ・ドール VOL.68>

・日時:2023年7月29日(土) 11:30-16:30

・場所:東京ビッグサイト 西ホール

 

<名古屋アイ・ドール VOL.36>

・日時:2023年10月1日(日) 11:30-15:30

・場所:名古屋市中小企業振興会館 1F 吹上ホール

 

 アイ・ドールとは、株式会社Plus Colorsが開催する、ドール、フィギュア、ハンドメイド関連の展示即売会です。東京だけでなく、大阪、名古屋、仙台、福岡の主要都市でも開催されているので、地方のドールオーナーも比較的参加しやすいイベントです。

 今回のイベント参加の目的は、ディーラー参加されている「TOA Claris」さんのドレスを購入することでした。イベント参加は目的なんてなくても、ただぶらぶら見て回るだけで楽しいものですが、お目当てのディーラーさんを見つけて、お気に入りのドレスを手に入れることもイベント参加の醍醐味のひとつです……というわけで、お目当てがある私は、ゲット率を少しでもあげるため、先行入場での会場入りを目指します。

 先行入場とは、開場時間前に会場へ先行入場し、お目当てのディーラーさんのブース前で待機できるシステムです。一般入場券に加えて、先行入場券(1,000円/枚)を購入する必要があります。そしてこの先行入場券に記載された番号順にブース前で待機することになります。ということは……人気のあるディーラーさんであればあるほど、先行入場券に記載されている番号によっては、自分の番が来る前に、完売になって買えない可能性がある、ということです。

 そのために、確実にゲットしたいものがある人は、先行入場券の良番を求めて先行入場券を繰り返し購入することになります……そう、良番を引くまで何度も。

 今回、「アイ・ドール VOL.68」では、8枚購入して366番をゲットし、「名古屋アイ・ドール VOL.36」では、12枚購入して416番をゲットしました。

 結果がどうだったか、というと……「アイ・ドール VOL.68」では希望のものが買えましたが、「名古屋アイ・ドール VOL.36」では希望のものは買えませんでした……そういうレベルです。

 私の数少ない経験上、ドレスの場合ですが、自分の希望を叶えるためには、少なくとも200番台をひとつの目安にしています。

 アイ・ドールは、開催頻度も多く、初参加するにはよいイベントです。先行入場システムも、引き際が難しい、という己の欲望コントロールの問題はさておき、始発行動で早朝から並ばなくていい、という点を考えると、いまのアイ・ドールのイベント規模にあったとてもいいシステムだと思います。

 さぁ、あなたも、アイ・ドールに参加して、1,000円札が紙吹雪のように消費されていく姿を見てみませんか?笑

 

2023年のアニメ作品10選

 

 皆さま、お疲れさまです!

 ようやく仕事も納まったので、年末ですし、年越しに向けて今年のアニメ作品を振り返ってみようと思います。今年も沢山のアニメ作品が公開されました。すべての作品を見ることはむずかしいですが、それでも、この1年で50以上の作品に出会うことが出来ました。その中から印象に残った作品を選定してみたいと思います。

 作品の選定基準は下記のとおりです。

 

<選定基準>

 ・dアニメストアで配信されている作品で全話完走した中から10作品を選定(★印)。

 ・dアニ以外の配信で見た作品は参考情報としてリストアップ(※印)。

 ・1期の作品のみを選び、続編(2期)は選定しない。

 ・選定作品の紹介順は、dアニで集計されている各作品の「気になる登録数」が多い順。

 

 それでは、皆さま、年末年始もよいアニメライフをお過ごしください。

 よいお年を〜!

 

1.【推しの子】,気になる登録数:245366

 ・監督:平牧大輔

 ・原作:赤坂アカ×横槍メンゴ集英社週刊ヤングジャンプ」連載)

 ・シリーズ構成:田中仁

 ・アニメーション制作:動画工房

 初回1.5時間放送がなければ、ただのドルオタ転生もののご都合ストーリと判断して見逃していた作品。アイの存在感を否が応でも想起させる特徴的な瞳のデザインが秀逸。サスペンス要素に注目が集まるが、アイドルアニメとしての完成度も高い。必見。2期が待ちどおしい作品。

 

2.葬送のフリーレン,気になる登録数:243252

 ・監督:斎藤圭一郎

 ・原作:山田鐘人・アベツカサ(小学館週刊少年サンデー」連載中)

 ・シリーズ構成:鈴木智

 ・アニメーション制作:マッドハウス

 初回4話分を金曜ロードショー2時間スペシャルで一挙放映するという離れ業をやってのけた注目作。最近パッとしない小学館の社運がかかってる。硬派なゴリゴリのファンタジーだが、ファンタジーの定型に囚われない物語構成が魅力。連続2クール放映なので、この年末年始に追いつけば年明けから楽しめる。

 

3.機動戦士ガンダム 水星の魔女,気になる登録数:223556

 ・監督:小林寛

 ・原作:矢立肇富野由悠季

 ・シリーズ構成:大河内一楼

 ・アニメーション制作:サンライズ

 「機動戦士ガンダム」の冠にアレルギーがある人も、一度、その冠を無視して、ただの「水星の魔女」して見てほしい作品。ガンダムの冠が不要と思えるほどに、これまでのガンダムシリーズにはない雰囲気が味わえる。その一因は、水星の魔女ことスレッタ・マーキュリーと超巨大企業の社長令嬢であるミオリネ・レンブランとの関係にあり。

 

4.薬屋のひとりごと,気になる登録数:203559

 ・監督:長沼範裕

 ・原作:日向夏ヒーロー文庫/イマジカインフォス刊)

 ・シリーズ構成:長沼範裕

 ・アニメーション制作:TOHO animation STUDIO×OLM

 花街に住む薬屋の娘、猫猫(マオマオ)が、ひょんなことから後宮の下働きになるところから始まる中華風ファンタジー後宮と花街、その陰と陽をうまく対比させたサスペンス展開がおもしろい。薬にしか興味がなく普段はガサツな猫猫が、ことあるごとに見せる妖艶さ……これがいいんだ、また。


5.この素晴らしい世界に爆焔を!,気になる登録数:143423

 ・監督:安部祐二郎

 ・原作:暁なつめ株式会社KADOKAWA 角川スニーカー文庫刊)

 ・シリーズ構成:上江洲誠

 ・アニメーション制作:ドライブ

 「このすば」こと「この素晴らしい世界に祝福を!」から派生した作品。「我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操りし者!」こと、ポンコツ魔法使いのめぐみんが主人公の物語。めぐみんを担当している高橋李依さんの演技に注目。音響のすごさが分かる。必聴!

 

6.転生王女と天才令嬢の魔法革命,気になる登録数:111805

 ・監督:玉木慎吾

 ・原作:鴉ぴえろファンタジア文庫刊)

 ・シリーズ構成:渡航

 ・アニメーション制作:ディオメディア

 魔法が使えない魔法王国のキテレツ王女、アニスフィア・ウィン・バレッティアと魔法の天才と噂される完璧公爵令嬢、ユフィリア・マゼンタ、二人の少女の物語。某アニメ(2022年の夏)の放映後で、色々と噂されてもおかしくないタイミングでの放映だったが、それをものともしない面白さ。アニス×ユフィもいい。

 

7.スキップとローファー,気になる登録数:76375

 ・監督:出合小都美

 ・原作:高松美咲(講談社月刊アフタヌーン」連載)

 ・シリーズ構成:出合小都美

 ・アニメーション制作:P.A.WORKS

 石川県の過疎地から東京の高偏差値高校に主席入学してきた田舎の神童、天然キャラな岩倉美津未。美少女ではないごく普通の女子高生である彼女がクラスメイト達と巻き起こすハッピーなスクールライフ・コメディ。美津未の居候先のナオさんがとても素敵なナイスキャラ。

 

8.江戸前エルフ,気になる登録数:64435

 ・監督:安齋剛文

 ・原作:樋口彰彦(講談社少年マガジンエッジ」連載)

 ・シリーズ構成:ヤスカワショウゴ

 ・アニメーション制作:C2C

 いままでにありそうでなかった発想で彩られた異世界転生もの。このお話では、人間が異世界転生するんじゃないんです。エルフが現世に異世界転生してくるんです。それも江戸時代に。そして、東京都中央区月島の「高耳神社」に祭られるんです。あなたが持つエルフのイメージをガラッと変える異色作。

 

9.幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-,気になる登録数:35353

 ・監督:中谷亜沙美

 ・原作:矢立肇

 ・シリーズ構成:大野敏哉

 ・アニメーション制作:サンライズ

 ラブライブシリーズ「ラブライブ!サンシャイン!!」からのスピンオフ作品。津島善子ことヨハネが主人公。バンダイナムコが誇る2大アイドルコンテンツのひとつ、アイドルマスターシリーズを愛する私としては、スピンオフ作品のアニメ化で先をこされてくやしい作品。それも文句の付けようのない良作。バンナムさん!スピンオフ作品の需要あります!!

 

10.アイドルマスター ミリオンライブ!,気になる登録数:16754

 ・監督:綿田慎也

 ・原作:バンダイナムコエンターテインメント

 ・シリーズ構成:加藤陽一

 ・アニメーション制作:白組

 このときを10年待ったんだ。バンダイナムコが誇る2大アイドルコンテンツのひとつ、アイドルマスターシリーズ「アイドルマスターミリオンライブ!」の初アニメ化。39人(正確には52人)も登場人物がいるため、アニメ化が危ぶまれていたが、それを物ともしないクオリティでアニメ化を成し遂げた……2023年アニメ界の奇跡のひとつ。必見。

 

以下、2023年にdアニ他で視聴したアニメリストを掲載。

 

<2023年冬アニメ:1月-3月放映>

 ・ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか

 ・お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件

★・転生王女と天才令嬢の魔法革命

 ・最強陰陽師異世界転生記

 ・英雄王、武を極めるため転生す~そして、世界最強の見習い騎士♀~

 ・冰剣の魔術師が世界を統べる

 ・便利屋斎藤さん、異世界に行く

 ・解雇された暗黒兵士(30代)のスローなセカンドライフ

 ・虚構推理 Season2

 ・人間不信の冒険者たちが世界を救うようです

 ・老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます

 ・ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん

 ・真・進化の実~知らないうちに勝ち組人生~

 ・ツルネ -つながりの一射-

 ・異世界のんびり農家

 ※とんでもスキルで異世界放浪メシ

 

<2023年春アニメ:4月-6月放映>

★・【推しの子】

★・機動戦士ガンダム 水星の魔女

 ・山田くんとLv999の恋をする

★・この素晴らしい世界に爆焔を!

 ・異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する ~レベルアップは人生を変えた~

 ・転生貴族の異世界冒険録~自重を知らない神々の使徒

★・スキップとローファー

★・江戸前エルフ

 ・くまクマ熊ベアーぱーんち!

 ・ウマ娘 プリティーダービー ROAD TO THE TOP

 ・贄姫と獣の王

 ・事情を知らない転校生がグイグイくる。

 ・TVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ U149」

 ・アリス・ギア・アイギス Expansion

 ※魔法使いの嫁

 

<2023年夏アニメ:7月-9月放映>

 ・実は俺、最強でした?

 ・わたしの幸せな結婚

 ・悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。

 ・デキる猫は今日も憂鬱

 ・おかしな転生

 ・るろうに剣心明治剣客浪漫譚

 ・英雄教室

 ・シュガーアップル・フェアリーテイル

★・幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-

 

<2023年秋アニメ 10月-12月放映>

★・葬送のフリーレン

★・薬屋のひとりごと

 ・進撃の巨人 The Final Season

 ・SPY×FAMILY Season 2

 ・陰の実力者になりたくて! 2nd season

 ・盾の勇者の成り上がり Season 3

 ・シャングリラ・フロンティア

 ・聖女の魔力は万能です Season2

 ・ひきこまり吸血姫の悶々

 ・ティアムーン帝国物語~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~

 ・豚のレバーは加熱しろ

 ・最果てのパラディン 鉄錆の山の王

 ・ウマ娘 プリティーダービー Season 3

 ・かげじつ!せかんど

★・アイドルマスター ミリオンライブ!


以上、最後までご覧頂き、誠にありがとうございました。励みになります。

 

 

ガンプラ狂騒曲

  

 入荷されたガンダムのプラモデル、ガンプラが店頭から瞬く間に姿を消すようになってから随分たつ。コロナ禍が始まってからだからもう2年くらいたつだろうか?このガンプラのパニック買いが改善される様子は今のところ全く見られない。一時的なブームを市場在庫のコントロールで作っているのではないかと勘ぐられてもおかしくないほどの異常事態だ。SNSに流れてくる画像も、ガンプラが入荷されたお店の状況や購入報告もしくは積み上げられたガンプラ、いわゆる積みプラの画像が多くなった。もちろん積みプラが悪いわけじゃない。けれど、いまはガンプラを買うことが目的になってしまい、買っても箱も開けずに積んで満足してしまっている雰囲気があるような気がしなくもない。プラモデルは未完成状態が完成品という特殊な製品だから、箱を開けてランナーを眺めるとか、このキットのこのランナーのこの部分がいいとか、そういう愛で方があってもいい。むしろそういったSNSの投稿がもっと増えてもいいくらいだ。

 いまのこの状況を見ていると、昔のガンプラブームを思い出す。ガンプラを求めて開店前のお店に並んだり、問屋さんからの入荷便を待ったり……ガンプラ世代としてはまるで昔を再体験しているかのようだ。ガンプラブームを体験した世代に共通のあるあるネタがある。緑の量産型ザクが欲しかったのに赤いシャアザクを買ってくるばあちゃんとか、売れないパチモノロボットプラモとの抱き合わせ販売とか。1970年代生まれは間違いなく体験しているはずだ。抱き合わせ販売については、その後の、ファミコンブームで体験している世代も多いだろう。

 ガンプラブーム直撃世代の私は「アニメモデルだって立派なプラモデルだ!」というプラモ狂四郎こと京田四郎の台詞に共感した。「プラモ狂四郎」は、かつて講談社が発行していた月刊コミックボンボンで連載されていた漫画だ。四郎に習い、アニメモデルの技術を上げるためスケールモデルにも手をのばした。もちろん大人っぽさへのあこがれもあった。「プラモ狂四郎」を入り口に、模型専門誌のホビージャパンを読み始め、ガンプラ以外へプラモデルの世界も広がった。あの鳥山明氏もプラモデル好きで、「Dr.スランプ」の中書きからスターウォーズシリーズなどの海外製プラモデルの存在を知ったりもした。ガンダム以外のロボットアニメ(エルガイムダンバインザブングルバイファムダグラムボトムズなど)のアニメモデルからも、SFやミリタリーの知識は増えていった。

 しかし、ガンプラはこの四郎の想いとは異なる方向に進化した。ガンプラはアニメモデルというプラモデルの枠を超えてガンプラというカテゴリーを築き上げた。ガンプラはプラモデル趣味への入り口ではなくなってしまった。いま現在、ガンプラは異常なほど高度に“組み立て式アクションフィギュア”化している。無塗装、素組みで楽しくブンドドできる十分な完成度。だから製作過程は地味に苦痛だ(笑)。最近のRGシリーズ1/144Hi-νガンダムの超人気ぶりもそれを物語っている。ガンプラはMGシリーズから始まり、RGシリーズに到達したいま、よい意味で異常な進化を遂げた。ガンプラはいま、プラモデルの枠組みから外れ、組み立て式アクションフィギュアへ進化し、独自のガンプラ文化を育んでいる。

 ガンプラ好きに「ガンプラが無ければ他のプラモデルを作ればいいじゃない」は通用しない。なぜか?それはガンプラが他のプラモデルとは異なる進化をしてしまったからだ。そこにはプラモデルの枠を飛び出した独自のガンプラ文化が築き上げられている。ガンプラの代わりはない。ガンプラは唯一無二のコンテンツになった。

 この騒動、もうしばらく続きそうだ。そういう私はもうガンプラで疲弊するのはやめることにした。積みプラを愛でるか、他のプラモデルを作りながら、この騒動が落ち着くのを待つことにする。終焉はまだみえない。

ラノベ発刊スピード今昔物語

 

 「ロードス島戦記 灰色の魔女」が刊行されてから30年以上が経過した。「ロードス島戦記」とは、1988年に角川文庫から刊行されたファンタジー小説で「ロードスという名の島がある。」で始まる “呪われた島”ロードスを舞台にした英雄たちの興亡と冒険を描いた物語だ。1990年にはOVAでアニメ化もされた。アニメ化では出渕裕氏のキャラクター原案に結城信輝氏のキャラクターデザインのセンスが掛け合わされた。その雰囲気の良さが最大限に活かされた国内ファンタジー作品の金字塔といわれる超名作である。私がファンタジー作品にはまるきっかけだった。そして2019年には新刊「ロードス島戦記 誓約の宝冠」が発売された。この歳になってまさか「ロードス島戦記」の続編が読めるなんて、という純粋な喜びがある一方で、次巻の発売までいったいいつまで待たされるんだろうか?とか、完結まで読めるんだろうか?、という漠然とした不安があった。そしていま現在「ロードス島戦記 誓約の宝冠」の発売から3年が経つが、続編が刊行される気配はない……。

 昔に比べて、読者が次巻を待てる期間もだいぶ短くなったのではないだろうか。以前は月刊誌への連載が基本で、それがある程度まとまったタイミングで単行本が発売されるという流れだった。リアルタイムで楽しみたい人は月刊誌で追いかけていたが、私は単行本で追いかける派だった。当時の「ロードス島戦記」の単行本刊行のタイミングは下記のとおりだ。

 ・1988年4月 「ロードス島戦記 灰色の魔女」

 ・1989年2月 「ロードス島戦記 炎の魔神」 ※10ヶ月後

 ・1990年1月 「ロードス島戦記 火竜山の魔竜(上)」 ※11ヶ月後

 ・1990年6月 「ロードス島戦記 火竜山の魔竜(下)」 ※5ヶ月後

 ・1991年2月 「ロードス島戦記 王たちの聖戦」 ※8ヶ月後

 ・1991年11月 「ロードス島戦記 ロードスの聖騎士(上)」 ※9ヶ月後

 ・1993年3月 「ロードス島戦記 ロードスの聖騎士(下)」 ※16ヵ月後

 最終巻にいたっては1年以上も待たされている。いまは小説投稿サイト「小説家になろう」など、ネット連載の作品も多く、作者の好きなタイミングで刊行できる。月刊誌や週刊誌という縛りもなく、作者自らが筆の進みに合わせてリリースペースを決められる。テンポよくリリースしてくれるので読者も飽きずに読める。続きがどんどん読めるので楽しい。だからモチベーションが持続する。読者もそれに慣れてきているので、消費のスピードが上がっている。どんなに面白くても、読者を待たせないことが大事だ。1年以上も続編が出ないと、忘れられてしまう。いまの読者は待ってくれない。待ってくれるのは昔のファンだけだ。それもいつかは続かなくなる。いつまで待てばいいのか?名作の続編だけにもったいないと思ってしまう。読者がいつまでも待っていてくれると思うのは作者の傲慢だ。

 「小説家になろう」で連載しているいわゆる“なろう系作家”は筆が速い。その代表格が「Re:ゼロから始める異世界生活」いわゆる“リゼロ”の作家である長月達平氏だ。“リゼロ”は「小説家になろう」にて2012年4月から連載が始まり、MF文庫Jにて2014年1月から刊行されている。最新刊の30巻が2022年6月に発売されており、前の29巻は2022年3月に発売されているので、3ヶ月に1巻のペースでリリースされていることになる。ざっと年間4冊ペースだ。それ以外に外伝もリリースされていたりする。ものすごいペースだ。そしてどれだけ売れてもその方針がまったく変わらないのがすごい。さらに長月達平氏は“リゼロ”以外にアニメの脚本でも活躍している。

 定期的に新作をリリースしてファンの心を繋ぎとめておくことが大事だ。もちろん新作でなくても構わない。既出の作品でも新しい楽しみ方の提案が出来ればそれでもいい。そういった工夫をつなげていければ、コンテンツは長生きする。「ロードス島戦記」にもそれを期待したい。「ロードス島戦記 誓約の宝冠」の続編はよ!もしくは「PLAMAX MF-xx minimum factory ピロテース」はよ!

気になるあのプラモデルを買って、模型製作スペースに行こう!

 

私が普段使用しているメイン工具(左から、ニッパー、ピンセット、デザインナイフ)

 プラモデルに興味を持った人が、最初にすることは家電量販店に行くかネット通販だろう。初めて買うプラモデルの組立取説書を見ながら必要な工具について色々とアドバイスをしてくれる地元の模型屋さんは絶滅危惧種になってしまった。家電量販店ではプラモデルの箱を開けて中身を確認することができない。ネット通販もそうだ。組立説明書には模型製作に必要な工具が書いてあるが、買う前に組立説明書が読めないので、作るために何が必要なのかがそもそも分からない。当然、分からないことを気軽に聞ける環境もない。模型製作に必要な工具をネットで調べても、工具に関してはモデラーはみんな一家言ある人たちなので、便利な工具がたくさん紹介されすぎていて素人には絞りこめないし、必要な工具はその人のレベルに合わせて変わってくるものなので、必要最低限の工具と言われてもなかなか難しい。また、作っている途中であれやこれが必要だったとなると、作りたいという純粋なモチベーションを低下させてしまう。

組立説明書に書かれているおススメ工具の一例(タミヤの組立説明書より)

 先日、バイクのプラモデルに初挑戦した知人に会う機会があり、デカールがうまく貼れずに挫折したという話を聞いた。そもそも組立説明書にはデカールの貼り方が詳しく書かれていない。書かれているのは文字情報だけだ。作業を知っていれば具体的なイメージも沸くが、知らない人にとっては何のことなのかさっぱり分からない。最近のタミヤのキットには、模型製作のワンポイントアドバイスとして「Tech Tips!」 が同梱されているが、それにすらデカールの貼り方は書かれていない。

組立説明書に書かれているデカールのはり方(タミヤの組立説明書より)

タミヤのプラモデルに同梱されている「Tech Tips!」

 ハサミで切り出すと書かれていても、家にある一般的なハサミでは細かいデカールを切り出すのは難しい。いわゆる一般的なカッターで切り出すのも難しく、デザインナイフが必要だ。マークソフターやプラモ向上委員会のデカーリングQuickトレイなど、便利な工具も沢山あるが、いきなりは揃えられない。そして、ネット情報からおススメ工具を買ったとしても、そもそも使い方が分からないこともある。たとえ便利な工具であっても模型製作が初めてだとなかなか手を出しにくい。 

上:デカールバサミ、下:一般的なハサミ

上:デザインナイフ、下:一般的なカッター

 それに、作るために必要な最低限の工具を揃えた上に色を塗りたいとなれば、塗料、筆、溶剤が必要だし、スプレー塗装をするには保護具を買い揃える必要もある。となるとプラモデルそのものよりも高いお金を払わなければならない。初めての人にとって、そういった工具類に関する金銭的な負担は大変な問題だ。それを解決するのが最近増えてきた模型製作スペースである。

 模型サークルに参加するという手段もあるが、既に人間関係が構築されているコミュニティに飛び込むのは勇気がいるし、メンバーの紹介がなければ入れないところもある。近場に模型製作スペースがあれば、まずは身近な模型製作スペースにいってみよう。

 自分の模型製作に必要な工具は何なのか、大枚をはたいて買う前に、いろいろ聞けて、いろいろ試せる。おまけに模型製作について色々なアドバイスもしてもらえる。さらには食事をすることができる場所もあったりして、一日中すごせる。モデラーにとっては夢のような空間だ。

 初めての人にやさしくないコンテンツは衰退していくのみ。昔あったあなたの町模型屋さんは初めての人をやさしく導くアドバイザーの役割も担っていた。そしていま、模型製作スペースがその役割を担っている。プラモデルに興味があるけれど、何をしていいのか分からない。そんな人は、是非、気になるあのプラモデルを買って、あなたの町の模型製作スペースを訪れて欲しい。

近場に模型製作スペースがない場合は、メーカーや模型専門誌から出版されているプラモデル製作ガイドブックなどに頼るしかない……ネットサーフィンしながらがんばろう!



プラモデルに興味を持ったらnippperから始めよう!

 ネット普及前、模型製作のノウハウや新製品情報などは、お金を払って模型専門誌から入手する情報だった。現在、プラモデルが気になった人が手にするであろう代表的な模型専門誌は「月刊モデルアート」「月刊ホビージャパン」「月刊モデルグラフィックス」の3誌だ。毎月25日頃に発売される3誌の特徴は下記のとおり。

 

(1)月刊モデルアート、1,293円(税込)

 1966年11月創刊の老舗雑誌。「スケールモデルの作る楽しみ・魅力を伝える」ことを基本方針とし、スケールモデルのみを取り扱う。

 

(2)月刊ホビージャパン、1,100円(税込)

 1969年12月創刊。1995年にガンダムのプラモデルでマスターグレードシリーズの企画を進行させるなど、バンダイと非常に密接な関係にある。トイの情報も充実している。

 

(3)月刊モデルグラフィックス、850円(税込)

 月刊ホビージャパンの編集部から独立したメンバーにより1984年11月に創刊された。創刊当時から「模型を題材としたグラフ誌」を標榜しており、プロモデラーの超絶技巧が駆使された作品が美麗な写真で紹介されている。

 

 月刊ホビージャパン電子書籍化もされており、最新号を除けば Kindle Unlimitedで読むこともできるので、お値段は少々高めだが最も手に取り易い雑誌だと思う。ちなみに、私は3誌の中では最安の月刊モデルグラフィックスをグラフ誌として楽しんでいる……グラフ誌として楽しむ、とはどういうことか?

 いまのこのご時勢、模型製作のノウハウはモデラー自らが配信や動画で積極的に発信しているし、新製品情報はメーカーサイトで簡単に確認できる。それも無料で。模型製作のノウハウや新製品情報の価値が低くなったいま、模型専門誌にはプロモデラーの超絶技巧が注ぎ込まれた作品をいかに美しく印象的に読者につたえるのか?そのセンスが問われている。そのため、模型専門誌に掲載される作品には撮影に耐えられる一定レベル以上の工作精度と塗装技術が求められる。そして、完成品のレベルを高めるため、当然のようにプラ板やポリパテを使った超絶技巧もこれでもか!ってくらい盛り込まれているし、最近では3Dプリンタ技術も当たり前のように使われ始めている。ジオラマの作例記事などもそうだ。素組みの記事などもってのほか。いまの模型専門誌はプロモデラーがその持てる技術を余すことなく突っ込んだ作品を楽しむ写真集になっている。

 そして、いまや模型専門誌に限らずネットでも超絶技巧が盛り込まれた作品を簡単に目にすることが出来る。いつでもどこでも凄腕モデラーの作品を目にすることができる。プロモデラーの作品は憧れの対象にもなるが、取り扱いを間違えると「自分には無理」って気持ちになり、せっかくのプラモデルへの関心をへし折ってしまう。

 もちろん初心者向けの特集記事も定期的に企画されてはいるが、手抜きとかお手軽とか言っても模型専門誌に掲載される作品はさすがプロ!といえるレベルになっていて、結果として「勉強してないよ」っていいつつ、しっかり勉強している優等生な感じなのである。マラソン大会で「一緒に走ろうね」って言っておきながら、いつの間にかいなくなって、ずいぶん先にゴールしてる同級生みたいな感じなのである。初心者向けの特集記事は得てして「こうしなければならない」という縛りや思い込みを植え込んでしまい、プラモデルのハードルをあげてしまうこともある。自分を振り返ってみても、自分の技術レベルとの乖離が大きすぎて、プロモデラーの技術に感嘆することはあれど、なかなか自分でもしようとは思わない。

 プラモデルに興味を持った初心者にとって、模型専門誌に代わり気軽に背中を押してくれる媒体が必要だ。そこに無料でアクセスできる模型情報サイトの役割がある。それがnippperだ。nippperには既存の模型専門誌のカタチにとらわれない模型の楽しみ方がある。素組みで塗装せずプラモデルそのもののカタチを楽しむのもよし。自分の好きな色で塗装を楽しむのもよし。面倒くさければヤスリがけをしないのもあり。プラモデルを楽しむのに決まったカタチなんてない。自分の思うとおりに楽しめばいいんだ、と思わせてくれる。

 

 プラモデルに興味を持ったらnippperを読もう!そこにはカタチを楽しむというプラモデルの趣味としての本質がある。